「あなたのこどもって小さいわね・・・」
「もしかして愛情不足なんじゃない」
嫌味でいったのではないにしても、発育を心配している母親にとっては、つらい言葉です。
愛情不足で子供が大きくならない、なんてことはまずありえません。
それはその子の個性であり、心配する必要はなにもないです。
普通に考えて愛情不足で大きくならないとすれば、それは食事を与えないなどの虐待をしている場合に限られます。
ですから、普通の家庭では何も心配する必要はありません。
また、子供は愛情不足を感じると無意識のうちにサインを出しますので、それを見つけてあげることが大事になります。
ここでは、愛情不足な子供の特徴について紹介します。
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愛情不足な子供の特徴
夜泣きやおねしょがある
愛情不足な子供の特徴については、まず夜泣きやおねしょ、その他にも寝ぼけて歩き回る、指しゃぶり、暴れる、落ち着きがない、言うことを聞かない、などが挙げられます。
こうなってしまう一番の要因としては、やはり子供に親の愛情が伝わっておらず、寂しさからこのような状況になっている場合が非常に多いのです。
つまり愛情不足な子供は、このような困った子供になってしまうのです。
対策としては、おもちゃなどを買い与えるのではなく、こどもが望む小さな願いを叶えてあげることが大事です。
例えば、こどもが「OOが見たい」と願っているのならそれを見せてあげることです。
この時にしてはいけないのが「OOは見れないからおもちゃで我慢しなさい」などと言って願いを叶えてあげないことです。
この時期のこどもが望むことは、そんなに大きなことではなく、大人なら簡単に叶えてあげられる願いがほとんどのはずです。
また、こどもがおねしょをした時に叱るのもあまり良いとは言えません。
「おねしょをしてもいいのよ」というくらいの愛情で、温かく見守ってあげることが大事なのです。
こどもは自分が愛されていると実感すると、良い子、良い大人になります。
親は子供が愛情不足の困った子にならないよう、しっかりと愛情を注ぐことが必要です。
コミュニケーションが苦手になる
愛情不足な子供の特徴については、コミュニケーションが苦手になります。
家庭内だと分かりにくいかもしれませんが、保育園など集団生活の中でそれが見られるようになってきます。
友達とうまくかかわれず、暴力をはたらいてしまい怪我をさせてしまうかもしれません。
愛情不足のストレスを、友達や物に当たることで発散させているのです。
また逆に友達と遊べず一人で過ごし、先生にも頼ることがない、しっかりとした子供になることもあります。
精神発達の遅れ
愛情不足な子供の特徴については、精神発達の遅れが挙げられます。
これは、イギリスの小児科医(ジョン・ボウルビィ)による「アタッチメント理論」によるものです。
アタッチメント理論
ボウルビィは、戦争孤児などに精神発達の遅れが出ていることを突き止め通達し、その上でそもそもの要因は、幼い頃に(3歳までの間)母親と離れ離れになったことにあるとしています。
つまり、3歳になるまでの間は母親が十分な愛情を注がなければ将来は、子供に精神発達の遅れが出たり、何らかの悪影響を及ぼすというのです。
3歳児神話
また、日本でもこのことがきっかけで「3歳児神話」なるものが生まれています。
3歳児神話は、日本社会の一般常識のようなものとされ、母親は子供が3歳になるまでは、子育てに専念するべきというものです。
しかし、最近は共働き世帯が増えており、そうした子育てだけに専念することが難しくなり、3歳児神話も賛否両論あるとされています。
不登校になる(母子分離不安)
愛情不足な子供の特徴については、不登校になる子供が挙げられます。
不登校とは、病気や怪我、貧困家庭などの正当な理由もなく学校をサボる、または行きたくても学校に通うことができない状態のことを「不登校」と言います。
不登校の要因としては、いろいろありますが親の愛情不足による家庭内の問題が一番やっかいとされています。
愛情不足が感じられる子供は真面目で、責任感も強く何事も頑張る性格です。
なので、不登校とは無縁と思う親も多いです。
しかし、彼らは一度落ち込むことがあるとなかなかそこから這い上がるのが難しいようなのです。
そんな時、頑張りが足りないからだとか、もっと頑張れ、などの言葉をかけるとさらに落ち込みます。
また、愛情不足な子供は外の世界へ飛び出すことに不安があるとも言われています。
つまり、彼らは親の愛情不足が原因の「母子分離不安」でもあるのです。
母子分離不安
母子分離不安とは、母親と離れると不安になり離れた際にメンタルや肉体的な問題を起こす状態のことを指します。
前途しました、アタッチメント理論にもあるように幼い頃、母親に甘えることが出来なかった子供が母子分離不安になりやすいのです。
母子分離不安である子供に対しては、家庭での関係を良好に保ちつつ、抱きしめてあげたり、手をつないであげたり、身体的なスキンシップを増やすことが必要とされています。
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自尊心がない
愛情不足な子供の特徴としては、自尊心がないことも特徴として挙げられます。
自尊心とは、自分を誇りに感じたり、自分には値打ちがあると思う性質です。
従って、自尊心がない子供は自分に自信がなかったり、自尊感情がないせいで物事に対するやる気も起きなかったりします。
子供の自尊心は、親の温もりにより育ちます。
叱る時も、感情に任せて怒るのではなく、しっかりと説明して愛情を持って叱ります。
褒める時も、同様に訳を話してから褒めることが大事です。
訳もなく叱られたこどもは、受動的な性格になり、反対に訳もなく褒められ続けたこどもは、自分を過信しすぎる傾向があります。
愛情不足は、子供の自尊感情にも影響を与えることをしっかりと理解しましょう。
愛情不足な子供が大人になったときに現れる特徴
他人との親密な関係性を築きにくい
愛情不足な子供が成長していくと、一体どんな大人になってしまうのでしょうか。
特徴として、やはりコミュニケーションが苦手で、他人との親密な関係性を築きにくくなります。
他人を心から信頼できないことで、仕事に支障をきたすこともあります。
また人と深く付き合ってこなかったことから、他人の気持ちや感情に気付けず無神経と思われてしまうこともあります。
このことは結婚生活やその後の子育てにも支障が出ます。
アダルトチルドレン
また「アダルトチルドレン」と呼ばれる大人になることもあります。
アダルトチルドレンの特徴として、対人依存があります。
自分に自信がなく判断ができないので、他人とつながっていたい、と願います。
また嫌われることを極度に怖がり、他人にしがみつく傾向にあります。
そのためNOと言えず、お金を貸したり悪い道へ向かったりしてしまうこともあります。
これは前述した人と深く付き合えない、というところと逆になります。
しかしコミュニケーションが苦手、他人との距離感がつかめないという点では同じです。
対人恐怖症
愛情不足な子供の特徴としては、対人恐怖症が挙げられます。
対人恐怖症は、子供の頃の出来事が影響しているとも言われています。
例えば、学校での失敗、叱られた体験など、様々ですがその問題を家庭に持ち帰って親に相談した際に、親が相手にしてくれず、冷たい態度で接していた家庭の子供が大人になった時、対人恐怖症で苦労するようです。
特にこの症状は女性に多いと言われていて、男性の約2倍程度とも言われています。
職場においては、人と接するのが苦手、電話が取れない(電話恐怖)など、他にもスピーチが苦手(スピーチ恐怖)、人前では手が震えて字が書きにくい(書痙・しょけい)など様々な症状があり、特に20代から30代の人達が悩んでいます。
従って、こどもが悩んでいる様子が伺えるようなら、真剣に向き合ってあげることが大事です。
「気の持ちようだ」などと突っぱねるのではなく、こどもに愛情を注ぐことが必要です。
境界線パーソナリティ障害
愛情不足な子供の特徴については、境界線パーソナリティー障害が挙げられます。
境界線パーソナリティー障害とは、突然人が変わったようになってしまう人格障害です。
この障害になると考え方が極端になるために、物事を良い・悪い、あるいは好き・嫌い、でしか見れなくなります。
また、怒りをコントロールできない、空虚感、衝動的な自傷行為、強いストレスを感じた時の記憶障害などの症状が現れます。
そのせいで、コミュニケーションも安定せず、人との強いつながりを作ることができないために強い寂しさを覚えると言います。
特徴としては、明るく振る舞っていてもどこか寂しそうであったり、無理をしているように見えることが多々あります。
相手の心を惹きつけるオーラがあります。
ギャップもあり、魅力的でもあります。
信頼関係を築くことが難しく、ネガティブ思考になることもあり、そのせいで自傷行為に走ることもあります。
この要因としては、遺伝や幼少期の家庭における問題などが原因とされています。
例としては、虐待、離婚などにより親から愛情を注がれない、親の期待を押し付けられた、などが挙げられます。
ちなみにこの症状は、10代の多感な時期と20代になった成人期に発症し、男性よりも女性に多いと言われています。
自己愛性パーソナリティ障害
愛情不足な子供の特徴については、自己愛性パーソナリティ障害が挙げられます。
この症状は自分を愛せない、自分を過剰に特別視する、などと言われておりパーソナリティ障害(人格障害)の一種になります。
特徴としては、若い男性に多く、他人からの評価を気にしたり、プライドが高いので失敗を認められない、嫉妬心が強いなどの性質があります。
他にも共感できない、他人を利用する、などの横柄な態度が見られます。
この要因としては、過保護と愛情不足のアンバランスさが原因とされています。
また、幼児期(6歳までの間)に事故や病気により両親を失ったなどの経験を持つこどもは、愛情遮断症(愛情剥奪症候群:感情がない、周囲に無関心)と呼ばれる障害も発症することがあります。
最後に
子供時代は人格形成において、非常に重要な時期です。
仕事が忙しく、構っている暇がないかもしれません。
しかし、子供への愛情は時間だけではありません。
時間がない時には短時間でも、じっくりと向き合い、時間より質で勝負しましょう。
たとえば、子供が寝る前に絵本を1冊だけ、布団に一緒に入って読み聞かせます。
それだけで子供の気持ちはきっと満たされます。
家事で忙しい中でも、子供の「聞いて聞いて」には耳を貸しましょう。
手を動かしながらでも構いません。
相づちをして、たまに目を合わせて表情を見せてあげましょう。
聞いてもらえる、という気持ちは認めてもらえている気分になれます。
子供時代には、愛情を少し大げさなくらい伝えるのがちょうど良いでしょう。
意識的にコミュニケーションをとるようにしてあげてください。
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