神通力(じんつうりき・じんずうりき)とは、人が持たない力という意味で使われることが多いものです。
日本では神から授けられる力、あるいは神そのものが駆使する能力というニュアンスで使われており、本当に困ったときにすがる対象だと思われています。
しかし、神通力とは本来仏教の言葉です。
そして、その意味についても六つの解釈が存在します。
ここでは、神通力の意味について紹介していきます。
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神通力
そもそも神通力とは、仏教において禅定(ぜんじょう)と合わせて、仏教には欠かせない項目になっています。
なぜなら神通力とは、悟りと非常に近い関係にあるからです。
仏教では悟りを開く過程でこの能力を身につけることができた者は、簡単に悟りを開いてしまうと言われ、修業者にとっては重要な項目なのです。
ただ通常は悟りを開くことができたものは、神通力も自在に使用できるとされています。
能力を持っている人
ではこの能力を持っている人はいたのでしょうか。
お釈迦様を例にすると、釈迦は悟りを開き釈迦如来となった開祖様ですのでもちろん持っています。
そして、菩薩も悟りを開く修業の過程でこの能力を身につけていたと言われています。
つまり、お釈迦様の教えをうけた修業者の人達は、その多くが神通力を身につけ持っていたとも言えるのです。
実際に、神通力の能力は仏教の経典(釈迦が説いた教えの書物)の中にも記されているとされていますし、一緒に能力を身につける方法も記されていると言われています。
言い方を変えれば仏教の修業者達は「超能力集団」とも言える存在なのです。
神通力の意味(六つの解釈)
神通力は、前途しましたように六つの解釈が存在し、これを六神通(ろくじんつう)と呼びます。
六神通とは、言葉通り6つの超能力のことです。
神足通
一つ目が神足通(じんそくつう)で、これは一瞬のうちにどこにでも行ける力となります。
足が速かったとされる韋駄天(いだてん・仏)を思い出せば分かりやすいものとなっています。
ただ神足通の力はこれだけではなく、姿形を変える力、環境を思いのままに変える力があったとされています。
天眼通
二つ目が天眼通(てんがんつう)で、これはものの大小や距離を問わず、見分けることができるという力です。
いわゆる千里眼に匹敵するものだと考えて差し支えありません。
また、別な解釈をすると、生命あるものの運命や生死を知ることができ、転生を知ることができる能力ともされています。
天耳通
三つ目が天耳通(てんにつう)で、どんな物音や声も聞き分ける力となります。
超能力を題材とした作品だと、たびたび見かけるものです。
神の耳とも言われます。
他心通
四つ目が他心通(たしんつう)で、こちらは他人が思っていることを全て見抜ける力です。
昔話に出てくる、覚(さとり・妖怪)が持つ力だと言えば分かりやすくなります。
宿命通
五つ目が宿命通(しゅくみょうつう)で、こちらは自分や他人の過去を見通す力となります。
いわゆる予知とか予言に当たるものとなります。
この力で数千~数万人の過去生を思い起こすことができ、映像や内容についても正確であるとされています。
漏尽通
六つ目が漏尽通(ろじんつう)で、煩悩の汚れがなくなったことを悟る力となります。
これは仏教が悟りを開くことに重きを為していることに由来しています。
他の能力が超能力として一般にもなじみがあるため、ピンと来ないという人も多いものです。
これらの力は、心の働きが大きな比重を占めるとされ、一般人が身につけようとしても難しく、科学の力を持ってしてもその能力を解明することはできていません。
しかし、神通力も元を糺せば気づきに近いものですので、しっかりと意識を高め、集中することで何かしらの能力が身につくこともあり得る話しです。
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最後に
前途しましたように、これらの能力は修行すれば誰でも身につくというものではありませんが、科学技術によってかなりまでカバーできます。
インターネットの発達や普及によって、地球の裏側で起きた話がリアルタイムで伝わるようになった昨今では、それを身につけなくても困ることはないと言えます。
しかし、学問として神通力の研究をするというのであれば、充分に意味が見いだせます。
宗教観が乏しくなった現代の日本でも、何故神通力という言葉が廃れずに使われているのかを調べるのは、有意義なことだからです。
ただし、近年流行している新興宗教の教祖などにはだまされないようにしましょう。
彼らは信者を獲得するための方便として、インチキな奇跡を見せているだけであり、本来の意味も知らずにそれを用いているからです。
神通力の正しい意味を知ることは、我が身を守ることにも繋がります。
親類知人など、親しい人にもそれを伝えれば、何かにだまされることもなくなります。
神秘というものは、それを知ろうともしない人間に牙を剥くことがあるというのを、忘れないようにしましょう。
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