将棋は、自分と対戦相手が同じだけの手駒を持った状態でスタートします。
ただ、自分と相手の駒を見比べると、表記に違いのある駒が一つだけあることに気がつくでしょう。
それが「王将」と「玉将」です。
この駒を奪った方が勝ちになるため、将棋では最も重要な駒です。
不思議なことに、どちらも「ぎょく」と呼ばれます。
前後、左右、斜めの計8方向に一歩ずつ動くことができるという機能も共通です。
ここでは、「王将」と「玉将」の違いについて紹介します。
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「王将」と「玉将」の違い
「王将」と「玉将」漢字で表記すると、点一つの違いではありますが、何か意味はあるのでしょうか。
王将は、”おうしょう”
玉将は、”ぎょくしょう”
とそれぞれ読みます。
また先程も紹介ししていますが、共通した読み方としては「玉」と書いて”ぎょく”と読みます。
「上手」と「下手」
将棋には、「上手」”うわて”と「下手」”したて”という概念があります。
対局の際にはどちらかが上手、もう一方が下手となります。
上手の方が下手より格上と考えてられており、プロのタイトル戦ではタイトルの保有者が上手、挑戦者が下手となります。
互いに実力の面で同格である場合、年長者を上手とします。
将棋の対局では、必ずどちらか一方が受けて立つ側となって、相手の挑戦を受けるのです。
この上手と下手の違いを盤上で区別する役割を果たすのが、「王将」と「玉将」の駒です。
上手の人が王、玉は下手が使う
一般的には、上手の人が王を使用し、玉は下手が使うという決まりがあります。
実は、平安時代の将棋の駒には玉将しか存在せず、王将はなかったと言われています。
玉とは、宝物のことを意味します。
つまり将棋は、チェスのような相手の王様を奪いに行くものではなく、宝を奪い合うゲームだったのです。
そう考えると、玉の脇を固める「金」や「銀」も財宝ですよね。
では、どうして一方の駒では「王将」が使われるようになったのでしょうか。
その経緯には、いくつかの説があります。
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王将
まず「王将」が使われるようになった経緯としては、将棋の駒を作っていた職人が、うっかり点をつけ忘れたことが始まりだという説や、「王様の方が偉いじゃないか」という理由で使用されるようになった、という説があります。
真偽のほどは分かりませんが、ここではもう一つ面白い説を紹介したいと思います。
豊臣秀吉説
それは群雄割拠の戦国時代に農民から成り上がり、天下統一を果たした豊臣秀吉にまつわる話です。
戦国大名には将棋好きが多く、秀吉もかなりの腕前を誇っていたと言われています。
秀吉がある日、玉将の駒を見て「王でなければ気に入らない」と言い出したというのです。
その命を受け、王将と玉将のある将棋駒セットが作られ、一般に広がっていったという説があります。
秀吉が王の方を使ったことは言うまでもありません。
「王は私一人でいい」という考え方は、晩年に朝鮮出兵をするなど、貪欲に領土拡大を目指した秀吉らしい考え方ですね。
最後に
以上、王将と玉将の違いについて紹介してきましたがどうでしたか。
王将は目上の人や強い人が使うもので、逆に玉将は、後輩や年下などの弱い人が使うといった意味があります。
将棋の世界には、暗黙のルールがあることが理解できたのではないでしょうか。
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