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見ざる聞かざる言わざるの三猿の意味と使い方

投稿日:2016年6月21日 更新日:

 

栃木県日光市にある日光東照宮の彫刻は広く知られ名高いですが、特に有名なのが『見ざる聞かざる言わざる』の三猿(さんざる、えんざる)です。

神に仕える神馬(しんめ、かみうま、しんば、と読む。神社に神や仏を楽しませるために奉納された白馬のこと)をつなぐ神厩舎(うまや他の家畜用のための建物)に八面にわたって、猿の彫刻が物語を作りながら彫られ、その中の子猿の三匹です。

神馬の神厩舎に猿を彫る理由は、陰陽五行思想(いんようごぎょうしそう、と読む。古代中国の世界観、歴史学である)で馬は火、猿は水を現し、猿が神馬を護るためとされているからです。

ただ、これだけ知られた作品ですが、残念なことに作者は不明です。

ちなみに、日光東照宮の彫刻は三大彫刻と呼ばれる、「三猿」、「創造の象」、「眠り猫」が有名です。

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見ざる聞かざる言わざるの三猿

 

物語は一面の母親が子猿の将来を見ているところから始まり、二面から六面で成長する姿が彫られ、七面で結婚し八面で妊娠しお腹の大きな猿が彫られ一面の母親に戻ります。

三匹の猿にばかり注目されていますが、一連の物語と関連付けながら観察すると、この神厩舎には猿の生涯が描かれています。

また、人間のあり方を説いているとも言われ、何とも言えない奥深い彫刻です。

三猿の意味

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2面に彫られているのが、見ざる聞かざる言わざるで、幼少期の猿です。

これは、三つの叡智(優れた知恵と知識力のこと)の秘密を示していると言われています。

幼少期は何にでも興味を示しますが、悪いものを見たり、悪いことを聞いたり、悪いことを言ったりしないで、良いものだけを取り入れて素直に育っていくようにという意味があります。

三猿は日本古来のものだと思われている方もいるでしょうが、実は八世紀ごろに「不見不問不言」の教えが中国から伝わったとされています。

経路は天台宗(天台法華宗とも呼ぶ。仏教のことである)の留学僧からです。

そこに、「不見不問不言」の語呂合わせ(駄洒落)として猿がついたということです。

三猿には四匹目の猿がいた

三匹の猿が有名ですが、驚くことに実は四匹目の猿がいたのです。

伝わった中国では四匹目の猿を入れ、四猿(しざる)といいます。

三匹の猿が目、耳、口を押さえているように、四匹目の猿は股間を押さえています。

見ざる聞かざる言わざる「せざる」とし、せざるはしざるともいいます。

意味は性的なことに関する戒めとされています。

何故、日光東照宮に四匹目の猿がいないかという理由は定かになっていません。

日光東照宮は徳川家康公が人々から尊ばれるため(敬意を払うこと)に建てられたものなので、品位に欠けるものは無礼であるという理由や、性的な表現のものは良くないなどという理由があります。

その他の説として、四猿の四は死を連想させるので良くないなどがあります。

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見ざる聞かざる言わざるの意味と使い方

 

では、見ざる聞かざる言わざるの意味とはどういったことなのでしょうか。

意味としては、

とかく人間は自分にとって都合の悪いことや相手の欠点を、見たり聞いたり言ったりしがちだが、それらはしないほうがよいという戒め。

とされています。

要は悪口、陰口は言わない、聞かないようにと言っているようです。

使い方

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この使い方としては、一般的には「見ざる聞かざる言わざる」の並びが多いのです。

文字にする際には「見猿聞か猿言わ猿」とも書きます。

例えば、

「この会社も残りあと数年で退職だ、これからも見猿聞か猿言わ猿で頑張って行こう」

「何事も見ざる聞かざる言わざるが一番だ」

などと使うことができます。

また、日光東照宮の三猿の並び同様に「見ざる言わざる聞かざる」の並びで使い「見ざる言わざる聞かざる」の順序でも良いとされています。

 

最後に

 

三猿と同様のことわざや意味があるものは、中国と日本だけではなく世界の何ヵ所かにも存在しています。

その由来や理由起源はまだ解明されてません。

猿の一生を描いた彫刻には、実は色々な意味があります。

見学に行くときは、じっくりと考察しながら観るのも良いでしょう。

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