私の知り合いが経験した話です。
彼は職場に近くて安い物件を探していたのですが、不動産屋を何軒か周り、希望に合致したアパートを見つけました。
部屋代が妙に安いのが気になりましたが、不動産屋いわく「もう古い物件だし、あのあたりは人気も少ないから、こんなものですよ」とのこと。
友人もまあそんなものかと思い、引っ越しをしました。
ところがその物件は、殺人や自殺があったわけでもないのに、幽霊が頻繁に出てくる、というとんでもないところでした。
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霊道
地縛霊ではないのは、毎日顔を合わせるのが違う幽霊だから判ったそうですが、愉快な話とは言いかねます。
そこで友人は霊感が強いとの評判のある、高校時代の同級生(便宜上Aと呼びます)に来てもらったのだそうです。
霊能力者Aの登場
現場に足を運んだAは、一目見るなり「ここは霊道になっているね」と言いました。
「霊道とは」と友人が訊ねると、Aは「霊道とは幽霊の通り道さ。浮遊霊が素通りするところと言えばわかりやすいかな」と。
調べ方とか、特徴とかがあるのか、と友人は首をひねりましたが、Aは昔からその種の相談を何度も受けており、外したことはないので信じることにしました。
「人には見えない者が見える」らしいAは、幽霊が夜中に集中的に出てくる(普通はそうなのでしょうが)と聞いて、その日は友人の部屋に泊まることにしました。
昔の刑事ドラマで「現場百回」というのがありましたが、とにかく一度は「現場」に出くわしてみるのがAの調べ方であり、その特徴でもありました。
まんじりともできぬ夜を二人で過ごし、そして問題の瞬間を迎えました。
幽霊が現れる
「来るね」とAが言うと、成程、確かに幽霊がぞろぞろと現れました。
普段より数は多かったそうです。
その道の専門家(と言っても、Aはインチキ臭い心霊商法のプロではなかったのですが)がいるのになぜ、といぶかる友人に、Aは「霊感が強い自分がいるからこそ、むしろ幽霊が集まる」という風な答えをし、彼の恐怖を煽ったそうです。
とは言え、恐怖を煽るだけでは無責任の極みです。
Aは自分の能力(いわゆる霊能力というやつでしょうか)を用い、霊道の位置を微妙にねじ曲げてくれました。
これで夜中に幽霊の大名行列に出くわさずに済む、と喜ぶ友人に、Aは釘を刺しました。
これは所詮一時的なものに過ぎないと。
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霊道の原因
何でもAに言わせれば、霊道になるような土地は昔から問題があり、過去には処刑場とか墓場になっていたのだそうです。
地名も特徴的で、地図を見れば判ったのだと。
それが地名の変更などで判りづらくなり、こういう目に遭う人はそれなりにいるのだそうです。
「調べ方は割と簡単さ。役所で昔の地図を見ればいい。変な地名は避ける。それだけで身を守れる」
Aは簡単に言いますが、場所や予算などいろいろと限りがある中で、そう贅沢は言えません。
結局、友人は今もそこに住んでいます。
何も起きなければ良いのですが。
霊道の調べ方
前途しましたように、霊道を調べる際は役所にて昔の地図を見ることです。
役所の方に尋ねてみると、親切に教えてくれるので心配する必要はありません。
地図を見ると、昔の人はその土地に独特な地名をつけている場合があり、容易に理解できることもあります。
しかし、一般に、そういう地名がつけられていることは稀です。
自分がその土地に住んだり、若しくはそこに家を建てるなどする場合には、必ず、地目(用途)などを役場や法務局で確認する必要があります。
以前の地目が「荒地」などの場合には、昔ここでは天災があった、と考えることもできます。
土砂崩れや、河川の氾濫で、多くの災害が出たことが原因で「荒地」という地目へと変更された可能性があるからです。
また昔の地目が、監獄用地、行刑場(処刑場)などの場合には、現代では霊道になっている可能性が極めて高い、と自分で判断できます。
最後に
ちなみに、アパートやマンション、戸建住宅等の不動産を借りる際は、隣の方に直接、何かこの部屋で事件や事故がなかったかを、聞くのが一番確実です。
不動産業者に尋ねても、その事を知らない、若しくは知っていても教えてくれないことも稀にあるからです。
そうすれば「この場所が霊道だと知っていたら借りなかったのに」と後から後悔することもないはずです。
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