的を得る、的を射る、どちらが正しいのか、そしてどういった違いがあるのかはよく議論に上ります。
意味としては、要点を得ている、理にかなっているというものになりますが、職場などでも実際に使用する方も多いのではないでしょうか。
その際、頻繁に聞く方は「的を得た」の方ではないでしょうか。
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「的を得る」「的を射る」どちらが正解?
例えば、会議の後などで「あの発言は的を得ていたね」など仕事のできる人を評して使われるものです。
文化庁の調査では、平成15年では「的を得る」と言う人の割合の方が多かったのですが、平成24年の調査ではそれが逆転し「的を射る」と言う人の割合の方が多くなっています。
正しくは「的を射る」の方で、「的を得る」の方は的を射るの誤用だと長らく思われていました。
テレビなどでもさかんに正しい日本語について取り上げられ、広く誤用説が広まる中での調査結果の推移と言えるでしょう。
三省堂国語辞典
1982年に監修された三省堂国語辞典の中で「的を得る」は「的を射る」の誤用である、とそうはっきり記述されていたことが、的を得るが誤用と広まった主な理由となっています。
しかし、最近ではその見方を疑問視する声も出てきています。
もともと三省堂国語辞典で誤用であると断定されたのは、辞典の監修者が「的というものは射るものであって得るものではない。したがって的を得るという使い方はおかしい」と判断したからです。
権威ある事典において、そう判断されたということはその影響は計り知れません。
なので、後の事典においても「的を得る」という単語は辞書に載らず、「的を射る」という単語のみが記載されるようになったのです。
「的を得る」実は間違っていなかった?
しかし、最近になって、当時の監修者が「的を得る」を誤用と表記したのは誤りであった、と自ら世間に公表しています。
「得る」というのはうまく捉えるという意味で捉えれば、誤用ではないと過去の判断を撤回し謝罪したのです。
ただ、世の中には「的を得る」という使い方は正しい日本語ではない、と思い込んでいる人もいまだ多くいます。
これを見て「そうか、的を得るという言い方でも良いんだな」と思って、いざ実際に使ってみたら上司からそれは正しい使い方ではない、とたしなめられる可能性もないとは言えません。
一般的に言葉の使い方をたしなめられる場合、目上の人間からの場合が多いでしょうから、その際に「的を得たという言い方は間違っていないんですよ」とは刃向っているようでなかなか言いづらいでしょう。
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的を得る、的を射るの使い方
的を得る、的を射るの使い方としては、先に言及した通り、主に会話では「的をえる」を使うことが多いのではないでしょうか。
例えば、「あの発言は的をいていたね」とするよりも、「あの発言は的をえていたね」とする方がしっくりきます。
なので、会話では主に「的を得る」を使うことが多いと言えます。
一方で「的を射る」は、新聞などの紙版に多いように思います。
使い方の例
「的を得る」を使った例:
■あの発言は___ていたね。
■___たやり方だ。
「的を射る」を使った例:
■あの____感じが素敵です。
■坊ちゃまは、時々___た質問をなさるんだ。
■才人は、誰も射ることのできない____。 天才は、誰にも見えない____。
ショーペン・ハウエル(ドイツの哲学者)
最後に
日本語は奥深く本来と異なる意味の使われ方をしている言葉や、似たような意味の言葉が沢山あります。
なので微妙な言葉に関しては、積極的には使わない方が良いかもしれませんね。
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