「老婆心ながら…」と言った言葉を一度は聞いたことがあると思います。
そもそも「老婆心」とは、老齢の女性が行き過ぎたお節介をやくことであり、自分の価値を意図して下げる言葉です。
よくビジネスシーンで上司に対して、「老婆心ながら…」と言ったシーンに出くわすことがありますが、これは間違った使い方ですので注意して下さい。
正しくは、僭越ながら(せんえつながら)となります。
その他の言葉としては、「お言葉ですが」や「失礼を承知の上で申し上げますが」などが良いとされています。
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老婆心ながらの意味
「老婆心ながら」とは年下の人に忠告したいことがある時や、お節介もしくは余計なお世話かもしれないけれど、伝えておきたいことがある場合などに使う言い回しです。
この表現を使うことにによって、物事を柔らかく伝えることができます。
すなわち言葉のクッション材のようなものです。
「あなたより長い人生経験のある私の話を聞いてほしい」という意味合いがあります。
老婆心ながらの使い方
使い方としては、例えば住宅ローンを組みたいと銀行を訪れた若い夫婦に対して、担当の人が「老婆心ながら言っておきますと、年収の約5倍までがローンの上限ではないかと思います」など、言いにくい、あるいは言うと不快に思う方もいるような内容を話す時に使います。
このような使い方で話をされた場合は「この人は自分たちに言いにくいことをあえて教えて下さっているんだな、他人である自分たちの将来も心配して下さるんだな」などと好意的に言葉を受け取ることができます。
この言い回しがなければ
「あなた達の収入では多額のローンを組むのは無理です。将来支払いが滞ると困るので多額のお金は貸せません。」
「あなた達のような若い人達の少ない収入では多額のローンは無理です。」など否定的な意味合いにもとれて、不快に感じる人も多くなります。
つまりこの言葉には、言いにくい話をスムーズに伝える役割もあります。
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老婆心ながらは尊重、忠告の言葉
また、日本の文化には目上の人の話は尊重するという風潮があります。
この風潮を利用して「老婆心ながら」を使った後に強く言い聞かせたいこと、自分の考えに賛同するようにしたいことを話す時に使うのも、使い方としては有効な手段の一つです。
しかしながら、この「老婆心ながら」は家族や親しい間柄で使われることはほとんどありません。
なぜなら、この言い回しは結局はそれほど親しくない人に対して忠告したいこと、伝えておきたいことを話す時に使う言い回しだからです。
すなわち、意味合いとしては「私はあなたのことを深く知りませんが、一般的にはこうですよ」という意味合いを含みます。
極端にいうと「あなたのしようとしていること、話されていることは一般的な常識とかけ離れていますよ」と忠告する場合に使うこともできます。
最後に
ちなみに「老婆」と言っているからといって、女性だけしか使えない言い回しではありません。
男性でも使うことができる言い回しです。
そして同世代や自分より年上の方に使うことはありませんが、誰からみても年配の人でなくても自分より明らかに若い人に対して使うこともできます。
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