日本語に、「前者」「後者」という言葉があります。
日常会話では、あまり使っている人を見かけませんが、一体、どういうときに使うのでしょうか。
「前後の人」を指す言葉でもないようですし、使い方が気になります。
ここでは、「前者」「後者」の意味と使い方について紹介します。
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「前者」「後者」の意味と使い方
意味
まず「前者」「後者」の言葉には、共に「者」という漢字が入っていますが、対象が人物に限られるわけではありません。
また、「前」「後」という漢字も使われていますが、”前”は「文に先に出てきた言葉」、”後”は「文の後に出てきた言葉」という意味で使われことが多いです。
辞典には、
「前者」は、二つあげたうち、前のもの
「後者」は、二つあげたうち、あとの方のもの。あとから来る者。後世の者。
となっています。
下記の使い方の例文を参考に、詳しく見てみましょう。
使い方
ここでは、「前者」「後者」の言葉の使い方を紹介します。
ではさっそく例文を挙げていきます。
例文1
例)「第一子は責任感が強くおっとりしているが、末っ子は甘えん坊で無鉄砲な傾向がある。しかし前者はおっとりしている分、世渡りが不得手で、後者はすぐ人に頼る欠点がある」
などと、文の最初の部分で例を二つ挙げ、文の後半で例に挙げた二つの事柄について、補足の説明を加える時に使います。
こうすることで、前半に上げた事柄を繰り返し書くことを防ぐ意味があります。
例文2
ほかの例文を考えてみると、例)「クッキーは甘く、おせんべいはしょっぱい。前者は小麦粉と砂糖、バターからできており、おせんべいは米と砂糖、醤油からできている」
などと、二つの事柄の”対比”という使い方もありますが、一つ目の例文とは違って、反対の内容を持ってこなくても、ただ補足の説明を加えたいときにも使えます。
まとめ
つまり「前者」と「後者」を使うことで一つの文の中で、同じ言葉を何度も繰り返さずに済む、またその方が説明がすっきりして意味がわかりやすい、便利な言葉であることが分かります。
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対比という性質
似た言葉に「使用前」「使用後」というものがありますが、これらの言葉とは、基本的には使い方も異なり、意味も大分異なっています。
ただ、”対比”という性質は似ていますね。
「前者」は悪で、「後者」は善、と真逆の内容が含まれていることも多々あります。
この言葉が来たら、「対比させようとしているな」と察することができます。
なんだか文系であるはずの日本語文が、対比という作用で突然、ロジカルな、パズルのようなすごく理系なつくりをしていることに気がつきます。
日本文は意外と、文の中が組立てパズルのようになっているのかも知れませんね。
それに気がつくと、作品の言いたいことがわかってきそうです。
最後に
「前者」「後者」の言葉が用いられている文章を読む場合には、組み立てをほどいてあげるように、指しているものが何なのか、それを理解することは必須ですので、見つけられるまで粘り強く本文を読み込む必要があります。
読みやすい文だけでなく、パズルのピースがちりばめられた、模様が同じパズルのような難解な作品にも挑戦できるよう、たくさんの文に触れていけたらいつもの景色も違って見えるかも知れません。
そのためにはたくさんの時間と心の余裕が必要ですから、実現できるのは人生の終盤かもしれないですね。
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